社団法人 大阪青年会議所

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2000年代運動方針

はじめに

1950年 (昭和25年) 3月25日、 終戦から4年半を経たとはいえ戦禍の傷跡がまだ生々しかった時 代、 当時20代だった先輩たちは、祖国復興という大きな夢を掲げ、 経済人としての強い危機感と使 命感、 青年としての抑え難い情熱をもって、 大阪青年会議所を創立されました。「私たちはJCの名 に相応しい青年らしい活発さ、 未熟さ、 謙虚、 創造的努力を以て私たちの道を歩んでいきたい。 青い果実が熟さないままに地に落ちているあの姿にはなりたくない。 青年の創造的努力は人間の尊 厳を維持する事に貢献するものでなければならない。」

大阪青年会議所創立メンバーの気概は、 このような言葉として残されています。
それから約50年、ニューミレニアム (新千年紀) の幕が明け、 21世紀を目前に控えた今、 私たち は、次の大きな節目に向けて新たな一歩を踏み出そうとしています。 2000年代の地球社会は、過去にはありえなかったスピードで大きく変わろうとしています。 その中で、 大阪青年会議所は、先輩たちの築いた強固な組織や幅広いネットワーク基盤の上に立ち、 青年会議所のさらなる発展 と大阪のまちの繁栄をめざして、未来を見つめる革新的な社会ビジョンと運動方針を明確に提示し なければなりません。

21世紀のスタートにあたり、 私たちは 「新価値発信都市・OSAKA」 の実現をめざし、 人間力の開 発に力点を置いた運動を展開します。産業革命にも匹敵するIT (情報技術) 革命の時代に求めら れるのは、 新しい価値観と新しい社会システムであり、 それを創造するのは人間です。活力あふ れる大阪のまちづくりビジョンを 「新価値発信都市・OSAKA」 の実現に置き、 「人間力」 の開発を 運動方針として取り組みます。

これからの地球と日本のため、 そして何よりも私たちの大好きな大阪を、 元気と活気にあふれ た“まち”にするために、 私たちは、ここでもう一度、 青年会議所運動の原点に戻り、 青年としての 気概と情熱を結集し、 創造的努力をもって、未知の世界を切り開いていくことを誓います。

第1章 新価値発信都市・OSAKA──21世紀、 日本は大阪から

第1節 転換期に輝く大阪のまち

古来より大阪は進取の精神に満ち、 自由闊達なまちとして発展してきました。 7世紀の半ば、 大 化の改新の詔が発せられたのは難波宮でした。海に開かれた大阪のまちは、 その後数百年にわ たり、 遣唐使の拠点として、 また新しい文化を受け入れる玄関口として、 重要な役割を果たしてきました。
16世紀には、 大阪城を築いた太閤秀吉が、 刀狩や検地によって兵農分離と封建領土の整理を 行い、動乱の戦国時代から安定の時代への橋渡しをしました。 また江戸時代には、 「天下の台所」 として日本の経済を牽引し、 幕末には、懐徳堂や適塾から福沢諭吉をはじめとする数多くの人材を 輩出、 戊辰戦争のときには博愛の精神を発揮し、 赤十字運動も興しました。そして近代工業の勃 興期には、 東洋のマンチェスターとして繁栄し、 戦後は、 流通革命の火付け役となったスーパーマーケットをはじめとする多くのニュービジネスを誕生させました。
このように大阪のまちは、 時代の転換期にいち早く新しい概念を取り入れ、 社会基盤や社会シス テムを整備し、 新しい価値を創造し、日本全体に広めるパイオニアとして活躍した伝統を持ってい ます。 長い歴史の中で、 常に未来を切り開くまちとして、文化的な輝きを放つ光源として、 日本社 会のダイナミズムを生み出す活力源として、 大きな役割を果たしてきました。
21世紀を迎える今、 私たち大阪青年会議所は、 そうした大阪のまちのダイナミックな遺伝子を復 活させ、新しい歴史や価値観を創造するまちづくりへの挑戦を求められています。 グローバルな地 球社会に開かれたまちとして、また未来のまちづくりのモデルとして、 自らが輝きを放つ 「新価値 発信都市・OSAKA」 を実現しなければなりません。

第2節 2000年代の大阪の課題──20世紀システムからの脱皮

「経済の世紀」 であり、 「戦争の世紀」 でもあった激動の100年が幕を閉じ、 「環境の世紀」 「心の 世紀」と言われる21世紀の幕開けを迎えます。 しかしながら、 現在わが国が取り組まなければならない課題は山積しています。 2000年代に大阪のまちが輝きを放つためには、 右肩上がりの経済 に代表される過去の遺産、 20世紀システムから脱皮して、新しい価値観を創造する環境を整えな ければなりません。
今、 わが国はバブル崩壊後の経済的な混迷に加えて、政府や自治体の財政問題も抱えている ため、 身動きがとれない状況にあります。 とくに少子高齢化の問題、 学級崩壊や青少年の犯罪などの教育問題は深刻であり、わが国の将来展望は決して楽観を許しません。 大阪のまちも、 活力 の源だった中小企業が疲弊し、復元力が弱まっています。
この閉塞状況を打破するためには、 鋭い感性、 新たな発想、 前向きな姿勢、 果敢な行動力を持つ若い世代による創造的破壊やブレークスルーが必要です。 幕末維新の志士たちが、 封建制度 の打倒と近代日本の建国に命をかけたような、また青年会議所の先輩たちが、戦後日本の復興 に情熱を燃やしたような勇気ある挑戦が欠かせません。
たとえば、 IT革命に対応したネットワークの構築、 ハード重視からソフト重視への大転換、 またニュービジネスへの果敢な挑戦などによって活力を注入しなければ、 「新価値発信都市・OSAKA」 としてのパワーを発揮することはできません。
今や、 過去の成功体験を追いかける時代ではなく、 自らの手で新しい社会システムをつくり出す 時代です。 従来の社会システムは、政治・経済が人間や環境より上位に位置するピラミッド型の構 造でしたが、 21世紀には、環境と経済と人間のバランスがとれた社会システムが求められるようになります。 1. 生存の確保=安全保障 (環境保全)、 2.豊さの享受=経済繁栄、 3. 精神の充足 =価値観の追求、 という三位一体型の発展をめざしたまちづくりに挑戦しなければなりません。
これまで、 社会開発や地域開発というテーマのもとに、 主として社会システムはどうあるべきかといった構造的・制度的な問題に取り組んできた青年会議所運動も、 これからは機能面や運営面か らのアプローチを重視した運動に力点を移し、大阪のまちに住む人々に焦点をあてた運動を展開することによって、 新しい価値を創造していく必要があります。 具体的には、 ハードとソフト (サービ スやスキル)、 インフラ (社会基盤) とコンテンツ (情報の内容・価値) のバランスがとれたまちづくりであり、一人ひとりのエネルギーや才能を引き出し、 それを結集して総合的な活力を発揮できるま ちづくりです。 「個」 を重視し、一人ひとりの人間が自由に、 そして公平に競争できるオープンな文 化風土のまちづくりが課題になります。

第3節 新価値発信都市に求められる要素── 「自立」 「創造」 「連携」

私たちが実現をめざしている 「新価値発信都市・OSAKA」 は、 民意を反映した社会システムを 基盤として、 経済、 教育、 環境、 文化、国際といったあらゆる分野に有機的な循環を生みだすコ ミュニティーであり、そこに住む人々のエネルギーを活性化するまちづくりだと言えます。
そのために必要とされるのが、 大阪のまちに暮らす人々や組織の 「自立」 「創造」 「連携」 です。 個人レベルから家族、 学校、 会社と、徐々に大きな集団になっていく過程で、 人々が自立し、 常に 前向きな創造力を発揮しながら、他との連携の中で新しいものを産み出して行くためには、「自立」 「創造」 「連携」 をうまく循環させなければなりません。
大阪青年会議所の役割は、 そうした社会発展性を持った良循環を演出するコーディネーターとし て、 人々の自立を支援し、 創造的な場を提供し、連携を促す環境をつくることです。 つまり、 「個」 を 尊重しつつ、人と人、 人と組織、 組織と組織のかかわりあいを活性化し、良循環しながらスパイラ ル・アップする場づくり、 環境づくりに力点を置いた運動を展開することにあります。
そうした良循環が繰り返し起こるダイナミックなまちづくりができたならば、 人々はいろいろな選択 肢の中から、自分にマッチした仕事や進路を見つけ出しやすくなり、 生き甲斐を感じて活動する 人々のエネルギーによって大阪のまちは自ずと活性化します。また、その循環の過程で、 新しい 物や情報やサービスが生まれ、 洗練され、 新しい価値の創造につながります。 そしてこの大阪発 の価値観は、日本の国だけにとどまらず、 世界中に情報として発信されるはずです。
私たちに課された20世紀システムの総決算という使命は重く、 また 「新価値発信都市・OSAK A」 という21世紀ビジョンの理想は遠く、高く、 簡単に実現できるものだとは思っていません。 しかし ながら、大阪青年会議所創立以来の多くの先輩たちが築き上げた基盤、また私たちに伝え残して くれた英知と勇気と情熱を持ってするならば、 私たちの手で、 この国の、 このまちの、 現在の危機的状況をブレークスルーし、「新価値発信都市・OSAKA」 を実現することは可能だと信じます。

第2章 青年会議所運動の力点──人間力開発をめざして

第1節 まちで暮らす人々に焦点を

私たちがめざす 「新価値発信都市・OSAKA」 を築き上げるためには、 まちに暮らす人々に力点 を置く必要があります。 なぜなら、 人は社会 (共同体) から切り離されては生きていけない存在で あり、社会の原点は一人ひとりの 「個」 にあるからです。
私たち人間は、 家族、 企業、 地域社会、 そして地方自治体や国家の構成員の一人として、 それぞれの共同体のもっているルール・慣習・道徳といったものを大切にしています。 しかしながら、 地 域社会や国も、「個」のエネルギーが集積することによって動いているように、 「個」 の信頼や協力 がなければ成り立ちません。
このように、 21世紀のまちづくりには、 人々が自らを社会の一員として考え、 行動できるような環 境づくりが大きな意味を持ち、 そこに住む人々の心を結集することが重要になります。
雨のしずくが集まって小川になり、 小川が集まって大河となるように、 まちに暮らす人々の 「個」 の力も、 集積化し、ベクトル化することによって大きな力となり、 社会システムという価値観を創造 します。また、 その過程で人々は互いに刺激し合って 「個」の力を増幅し、 創造力のある人間も育 てます。 まちの夢も、 国の夢も、 そこに暮らす人々の夢を、 より大きく育てることから始まります。
いままで約50年の間、 青年会議所は、 社会システムの創造や発展に主眼をおいた文化の探求 や開発活動を展開してきましたが、IT革命やグローバル化は多様な文化が入り組んだ複雑な社会 を生み出し、 しかもドッグイヤー (人間の7年に相当する犬の1年) のスピードで劇的な環境変化を もたらしています。 これからの青年会議所運動には、 従来とは別の新しい軸や力点を持った展開 が求められます。
一つ目は、 包括的・概念的な社会システムへの提言や働きかけではなく、 そのまちに暮らす 個々の人々に直接訴える運動を展開していくことです。
二つ目は、 社会システムの機能を活性化し、 運営を効率化するために、 ハードウェアを活用する サービスやスキルを開発し、 人々に新しい価値を提供できるような運動を展開することです。
そして三つ目は、 開かれた組織をつくり、 ネットワークを活用した交流や連携によるオープンな運 動を展開することです。
その中で、 個々のメンバーの人間力を開発し、 また大阪のまちで暮らす人々の人間力開発に焦 点をしぼった活動を展開していくことが21世紀の大阪青年会議所の役割にほかなりません。

第2節 人間力開発の中核と価値観──アイデンティティーの確立

人間力は、 地域社会を活性化し、 変革する原動力であり、 未来を切り開き、 新しい価値を創造す るために欠かせないエネルギーの源です。 21世紀を迎える今、 私たち青年会議所が、 何よりも優 先して取り組まなければならないのは、大阪のまちに住む人々の人間力開発 (Human Development) に力点をおいた運動を展開することです。
人間力開発運動とは、 自立した 「個」の持つ創造的なエネルギーを発揮させ、 その力を結集して 地域社会の活性化に生かす運動です。 したがって、 何よりも大切なことは、社会の一員として自ら 考え、 自らの意思で行動を起こすことのできる自立精神、すなわちアイデンティティーを確立するこ とです。
具体的には、 大阪のまちの歴史や文化を見直し、 そこに息づいている遺伝子は何か、 またどこに あるかを見つけ出し、 その上で、将来の大阪の青写真を描き、 新しいライフ・スタイルや文化の創 造に取り組むことです。「新価値発信都市・OSAKA」という21世紀ビジョンを実現するためには、 未来を夢みるイマジネーション能力、 独創的な発想ができるクリエイティブ能力、 変化に素早く対応できるフレキシビリティー (柔軟性) などが必要とされます。
もちろん、 個人がそうした能力をすべて身につけることはできないかもしれませんが、 それぞれの分野に優れた能力を持っている人々を結集することができれば、 大阪のまちは活力を取り戻すこと ができます。そのコーディネーター役を期待されているのが、私たち大阪青年会議所であり、 経済、 教育、 環境、 文化、国際などあらゆる領域の人々との間に構築したネットワークを生かし、 トータル な意味での人間力開発運動を展開する責任と義務があります。
そのためには、 私たち自身の人間力、 つまり青年会議所のアイデンティティーである創立精神を 再確認し、 さらに 「新価値発信都市・OSAKA」というビジョンの実現をめざして、 自己鍛練や組織 の活性化に努力をする必要があります。また、 他と連携していくためのプレゼンテーション能力、思 いやりの心を持ったヒューマン・スキルも高めなければなりません。
2000年代の大阪青年会議所は、 私たち自身の、 そして大阪のまちに住む人々が持つ潜在的な 人間力を掘り起こし、 育て上げ、 結集する、 人間力開発に力点を置いた運動を展開します。

第3章 明日に向けて──人間力開発の視点から

人間力開発運動は、 「個」 の能力を高め、 それを結集して地域社会の活性化をめざす運動です が、個別の人に個別的な対応をしているだけでは場当たり的で力が分散してしまいます。 家庭、 学校、 職場など身近な世界、さらに産・官・学・民といった各セクター内外における「心の通じあう」 交流の拡大、 また地域社会を超え、国境を超えたネットワークの構築や交流を促進し、 大阪スピ リッツあふれる 「新価値発信都市・OSAKA」 を実現するためには、人間力開発運動を集積する場づくりも必要になります。
たとえば、 地域教育・生涯教育の学校との連携による文化的な学習の場づくり、ビジネスセンタ ーやSOHO (small office home office) 支援センターとの連携によってニュービジネスや起業家の育成ができる環境の整備、さらに人間力開発運動を効果的に進めるためのニューメディアの立ち上 げなど、そこに暮らす人々が意欲を持って参加したくなるネットワークや基地づくりが考えられます。
また人間力開発を促進するためには、 活動を活性化させるための仕掛けとして、 お金も人も、 時 間も必要になります。環境づくりだけにとどまらず、 ビジネス、 教育、 まちづくり、 環境、 伝統文化、 新文化創造、グローバルネットワークなどできるだけ広い領域をカバーし、その活動を支援する基 金づくりや人材センターづくりなども考えなければなりません。また、 働いている人々も参加できる ように、 企業におけるフレックスタイムを導入や資格取得を支援する制度づくりも欠かせません。
そうした人間力を育成できる環境が社会基盤として整備されたならば、 人々はお互いに影響を及 ぼしあい、 切磋琢磨しあって、新しい価値やより大きな価値を創り出し、 その力を 「新価値発信都 市・OSAKA」の実現のために発揮してくれることでしょう。

第4章 再び立つ。 変革の能動者として

大阪は、 私たちの職場であり、 遊び場です。 また、 子供を育てるコミュニティーであり、 未来の夢 を描くカンバスでもあります。 そして、 私たちの人生の舞台であり、 懐かしい故郷です。
私たち青年会議所は、 そうした深い絆を持つ大阪で働き、 あるいは生活する青年の集まりとして、 大阪に暮らす人たちと共に活動しています。したがって、 私たちは、 常に地域社会の視点で考え、 行動しなければなりません。大阪の青年経済人としての自覚を持ち、 経済や社会システム、また 行政や教育システムに対しても、 現在と未来を見据えて一歩前を行く発言や行動が求められます。 大阪のため、大阪に住む人々や企業のための政策を提言し、現場に落とし込んで実現することを 期待されています。
「青年-それはあらゆる価値の根源である。」
50年前、 大阪青年会議所の設立趣意書の冒頭にうたわれたJC運動の原点を、 私たちはあらた めて確認しなければなりません。
未来に広がる無限の可能性を信じて理想を描き、 熱い気概と情熱を持って、 新しい時代の創造 に邁進することが許されるのは私たち青年の特権です。未来への無限の可能性という青年の本質 を、 その根幹に取り込んだ運動体としての青年会議所は、どんな時代にあっても、 常に将来を見据えた問題意識を持ち、 融通無碍の柔軟な対応によって新しい時代を開拓してきました。
私たちは今、 時代の大きなうねりの中にいます。 しかしながら、 たとえ一人ひとりの力は小さくと も、私たち大阪青年会議所のメンバーが大阪を思う心を一つにし、 大阪に暮らす人々と力を合わせ たならば、 21世紀の新しい大阪を、そして日本を創造することができます。また、 それを実現するこ とが私たち青年に与えられた使命であり、若い世代として果たさなければならない責任です。
21世紀の未来を切り拓くこと、 それは大阪青年会議所だからこそ担うことのできる、 あるいは大 阪青年会議所でなければ担うことのできない「変革の能動者」 としての社会的使命にほかなりま せん。 祖国復興のために結集した先人たちのごとく、私たちは 「変革の能動者」 として、再び立ち 上がり、 新しい大阪の価値創造を通じ、 新しい日本、 新しい地球社会の創造に向けて、 新たな一歩を歩みはじめようではありませんか。

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