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理事長所信

大阪のまちに真の「つながり」を実現しよう!
〜 すべては自分ごと 〜
安心して暮らせる安全なより良いまち創りをめざして

  社団法人大阪青年会議所
第62代理事長
杉野 利幸

はじめに

混沌とした社会だからこそ、未来の宝である私たちの子どもが豊かに、安らかに暮らせる明るい社会を実現しなければなりません。
 忘れもしない2011年3月11日、東日本大震災が発生し、地震だけでなく津波被害の大きさを目(ま) の当たりにしたその瞬間、遠く見知らぬ土地に住む人びとを「大丈夫だろうか」と心配し、災害後のまちの姿を見たとき「自分にもできることは無いだろうか」と考えた方は多いのではないでしょうか。それは、同じ時同じ国で住み暮らし、実はともに生きているのだと感じ、また、世界各国の救助隊や大勢のボランティアが人命救助や復興支援を行っている姿からも、私たち自身や日本という国が様々な人と「つながり」を感じたからではないでしょうか。
 「つながり」とは、今まで、この社会を築いてこられた先人から、物質的、精神的に受け継いで私たちが未来につないでいく時間的な縦軸と、今を取り巻く様々な人や出来事との関係を表す空間的な横軸で構成されています。それこそが自分自身の存在価値であり、自らを中心としたすべての「つながり」でもあるのです。その昔、難波津(なにわづ)を有し、遣隋使、遣唐使を通じて世界との受発信都市として栄えた大阪は今のように便利な天気予報や、携帯電話などもなく、人が自然と共存する大切さや、人と人とが直接接することの大切さを肌身で感じていたはずです。しかし現代では、すべてが希薄になりつつあります。それは何時でも、どこでも、誰とでも、昔に比べて関係を保つ方法も簡単に、また多種多様な方法ができたからこそ、必要な時だけつながればよいという感覚が「つながり」を希薄化しているのです。
 私たちは、家族、地域、大阪のまち、果ては日本や世界、そして過去と未来における自らとの縦軸と横軸の有機的な「つながり」を再確認し、より良く、より強くすることで、様々な問題に関心を持って互いに支え、助け、思いやる、より良い社会を構築していきます。

1. 子どもの幸せをかなえよう!

 親は我が子の幸せを願わずにはおれません。
 幸せを本当に願うからこそ、今一度、視点を変えて子どもと親自身の「つながり」を見直すことが必要なのです。我が子が誕生する瞬間、他には何も望まないから健康で生まれてきて欲しいと切に願ったものです。しかし、子どもが成長するにつれ、もっと環境の良い学校や地域での生活、さらに成績が良くなって欲しいと親は願います。それは、自分の子どもの将来を心配し、目に入れても痛くないほど子どもの幸せを願っているからに他ならないのです。
 その想いで、普段は子どもたちと接しているはずなのですが、現実は親が子どもの頃にも経験した、やる気や挑戦、失敗や挫折を温かく包んで欲しいといった子ども目線の、ともに成長していこうとする状態ではなく、子どもの気持や立場を考えずに少なからず押しつける教育スタイルになっており、特に親が親の立場で子どもの気持ちを酌んだかのような錯覚を起こしていることが、多くの課題を生んでいる一因なのです。
 「親の背中を見て子は育つ」 昔から親しまれているこの言葉には、親が子の見本であるというだけでなく、子どもの立場や気持を良く理解して、自分の経験則や考えから将来への指針を持って、親や社会全体が実際の行動と、その指針を子どもに伝わるように伝えて共有し、ともに歩むという意味が含まれているはずです。また、子どもは親や社会全体によって自分たちが安心して過ごせていることを理解し、他者との関係を知った上で、家族や社会との「つながり」を深めていかなければなりません。
 誰であれ決して子どもを想う気持ちだけで何事も押しつけてはならないのです。子どもを育てる親や社会が、まず子どもの現状や課題、問題、気持ちを十分に知り、子どもたちに寄り添って一緒に考え、分かり合い、行動する中で、ともに成長しながら深い信頼関係で結ばれる「つながり」を再構築します。

2. みんなが創る支援の環。安全で、安心できるより良いまちにしよう!

 私たちは、目には見えないが実は密接にまちとつながっています。行政、NPOそして、様々な人びとによって課題解決への取り組みや安全をともにしているのです。
まず、行政との関係は、本来私たちが納税を通じて密接に結びつき、その用途や自分たちとの関わりを一人ひとりが知った上で、自らがまちの課題解決のために行政へ積極的に関わらなければなりません。また、行政が直接取組めない、取組み難(にく)い問題については、多くのNPOや団体が解決にむけて積極的に行動しています。しかし、多くの団体は、まちを良くしたいという気概や直向(ひたむ)きな行動だけで、持続して問題を解決できる体制、とりわけ財源の確保に苦労しているのが実情です。海外では寄付や賛助という風土が根付き、まちの人びとや企業に浸透していますが、現状、私たちが働く企業や個人ではそのような仕組みには積極的ではありません。故に、現在の他者や企業との「つながり」を見直して互いが支え合う関係にしていかなければならないのです。
 また、今回の災害から家族や他者がつながり、互いを思いやり助け合うことを、現在や未来の突発的な事態に備えて、家族、企業、地域、まち単位で準備を進め、何時でも実行できるようにしておかなければなりません。
 さらに、より強く、より深く支え合うためには、すぐにできる、共感できる、継続できる、自分の善意が人の役に立っていると実感できる、生活の中にあって特別なことでは無いことが特に重要です。
 企業、団体が継続してかかわることが可能であり、且つ自分たちのまち創りをまちの人びとがいつでも、どこでも気軽に支援し、支え合い、課題に取り組み安心して暮らせる安全なまちを人、企業、行政、団体の新たな「つながり」によって創造します。

3. すべてはつながっている。大阪からより良い未来を創ろう!

 実は、私たちはすべてとつながっているのです。
 世界では、水、食物の不足、資源争奪や、民族、宗教など価値観の違いから争いが起きています。また、一方でパンやコーヒーのように海外からの文化を多く取り入れながら、豊かな生活を送っています。この二つの事柄は、自分自身と普段は無関係であるかのように生活していますが、あらゆる製品や安全、外交、そして、災害時の互いの助け合いなど世界中から支えられて、私たちの生活が成り立っているのです。例えば、スーダンから独立し世界的な産油国となる南スーダンは、一見私たちの生活には無関係のように見えます。しかし、南スーダンが不安定になれば、石油消費国である国々のエネルギー供給バランスが揺らぎ、最後には私たちの生活や自分たちの働く職場にも大きな影響がでるのです。この例でも、自分には一見関係ない遠い地での出来事も決して無視できるものではなく、自らが積極的にすべての事柄との「つながり」について考えなければならないのです。
 また、未来に向けたより良い関係を保つためには、普段は意識していない世界中の多様な価値観を持った人びととの「つながり」によって私たちが支えられていることを理解するとともに、様々な価値観を越えてより良い新たな関係を創っていく中で、世界中のあらゆる問題を自分ごとと捉え、解決していこうとする姿勢が必要です。だからこそ、私たちは世界との「つながり」をより良く強化するために、互いの価値観の相違をも簡単に越えて、様々な問題の解決や協力できる柔軟な価値観を持つ次代を担う人びとを未来に向けて育みます。
 私たちは、すべてが自分を中心とした「つながり」の中にあることを認識し、次代を担う人びととともに、すべてを越えてより良い未来へとつなげていきます。

4. 自利利他の精神で行動しよう!すべては未来のために!

『青年』−それはあらゆる価値の根源である。
大阪青年会議所(JCI大阪)設立趣意書の一文です。
 私たちは、まちのため、自分のために、今しかできない限られた時間の中で精一杯行動する青年です。その志を六十二年間積み重ねた大阪青年会議所は組織、行政、個人、企業との「つながり」を今も財産として承継しています。その先人たちが積み重ねてきた経験や工夫、そして様々な「つながり」を、将来を見据え、より効果的な運動のために未来へとつなげていくことが必要なのです。また、一人ではできないことも、目標を同じくする人びとの心を合わせて行動し、自分を含むすべてを磨き、より大きな成果が得られなければなりません。
 さらに、私たち大阪青年会議所を取り巻く環境の在り様も今後大きく変化するはずです。先人から承継した英知を未来に向けて変えるべきは勇気をもって変え、最良の選択の中で必要なものを後世に残さなければなりません。そのために、私たちが大阪青年会議所に属する目的や自分の目標を明確にし、自らが積極的にまちのために必要な役割と責任を果たします。
 また、全員の力を集結し、何事も自分ごとと捉え、自らの役割を積極的に果たしながら共通の目標を達成していくために行動します。さらに、「終わりよければすべてよし」の言葉ではなく、最初から最後まで目に見える成果に拘(こだわ)り、 次代へ私たちが受け取った「つながり」のバトンを確実に渡します。
 歩みは遅くとも、一歩一歩着実に自らの行動によって、私たちのまちがより良くなっているという「つながり」を実感できるのです。

「自分たちのまちは自分たちで創る!」
そのために今しかできないことを力合わせて一緒にやりましょう!

最後に、
自分のためだけに行動する人は利己的と言われます。
しかし、自分のことよりも他者を優先し行動すると、最後は自分自身の成長として戻ってくるのです。

何事も他者を優先させる「自利利他」の精神で。