活動報告
第3回 スナック&バー 瀧
お話: 二代目店主 長瀧 敏郎さん
大阪を代表する高級飲食店街、北新地に店を構えて約50年。「スナック&バー瀧」は高度経済成長期からバブル期まで続いた社用族華やかなりし時代からJR北新地駅の完成を経て現在に至るまで、北新地の変遷とともに歩んできました。
開店当初からずっと愛され続けているカクテル「カンカン」は同店の名物。変わりゆく街で先代が生み出した味を守る二代目店主、長滝 敏郎さんにお話をお聞きしました。
時代を超えて愛される名物カクテル「カンカン」
私の父であり先代である長滝繁夫がこの店を構えたのは、1969年(昭和44)。大阪万博を翌年に控え、北新地をはじめ、大阪が活気に溢れていた時代でした。先代はリーガロイヤルホテル「リーチバー」の初代チーフバーテンダーで、お客様の多くが北新地を利用されていたことから、この場所に店を構えました。
先代から受け継いだのは、ジントニックにライムを加えた「カンカン」です。これは、当時珍しかったライムを皆さんに楽しんでもらおう、という思いから誕生したカクテルです。当初はアルミ製マグでお出ししていましたが、先代がシンガポールで買ってきたスズ製マグを使い始めてから、ずっとスズ製でお出ししています。
カクテルの味は、ジントニックとジンライムの中間。「カンカン」は、「間」という意味なんですよ。使うジンは、「ビーフィーター」一筋です。先代が米国人のお客様に勧められて使うことにしたと聞いており、私も他のジンを使おうと思ったことはありません。先代がつくる「カンカン」は、濃いジントニックにライムをグッと効かせていましたが、私は世の中の嗜好の変化やお客様の好みに合わせて、バランスを変えておつくりしています。「カンカン」の魅力は、何と言っても口当たりがよく、飲み飽きずに何杯でも飲めるところです。でもジンだけに、後からジンジンくるんですよね(笑)。「カンカン」は、最後の一口を残してライムをかじってから、飲み干すのが流儀。すると、違う味が楽しめますし、お口もスッキリします。
今も昔も、お客様の9割以上は「とりあえず『カンカン』!」とオーダーされます。特殊なバーですね。
受け継いだのは味と姿勢と変わらぬ雰囲気
私も先代と同様、ホテルで経験を積み、30歳でこの店に入りました。その後20年間、一緒に仕事をする中で教わったのは、考え方や姿勢です。「図に乗るな」「贅沢は敵だ」と口やかましく言われましたね。
昔に比べて北新地の雰囲気は変わりましたが、この店はポスターもジュークボックスも開店当時のまま。時が止まったような雰囲気なので、長らく海外赴任されていたお客様は、「昔にすっと戻れたような気がする」とおっしゃっていました。
これからも、先代から受け継いだこの雰囲気を守りつつ、北新地が皆さんに愛されるよう、盛り上げていきたいと思います。(談)
スナック&バー 瀧
大阪市北区曽根崎新地1-8-3 遅ビル1F
TEL:06-6345-5727
営業時間/17:00~24:00(土曜は~23:00)日祝休