ザ・元気人インタビュー 第5回 寺尾仁志

700人のシンガーが参加し、〝Give Happiness"を理念にアーティスト活動を行う「human note」。この大所帯のグループを率いる寺尾仁志氏に、活動に込める思いをうかがった。


― human noteはどのような活動をされているのですか。

 学校や病院、被災地、海外などで、歌の持つ力や歌を通して人とつながる素晴らしさを伝えています。大切にしているのは、訪問先で何が求められているのかを知り、自分たちがどう応えられるのかを考えること。東日本大震災の被災地、南三陸町の避難所で歌おうとした瞬間、困っている人に手を差し伸べようとしている自分が「いい事をしている自分に酔っているのではないか」と思えて急に怖気づき歌えなくなりました。でも、被災者の方々の気持ちをわかりたいし、ちゃんとつながりたい。そう願いながら歌うと、ある女性の方が「歌なんか聴く気になれないと思ってたけど、聴けて嬉しかった」と言ってくださり、私も温かい気持ちになりました。幸せを届けることは自分たちの喜びになり、その経験は私たちを成長させてくれます。ですからメンバーには「ええことしてる自分に酔うのはやめよう」と言っています。


― パラスポーツ応援プロジェクト「Beginning」に参加されていますね。

 メンバーの中には障害を持つ人もいますし、支援学校で歌うこともあります。障がいを持っている方は、時に人の力や助けを必要とすることがあるかも知れない。でもまずはお互いに「知る」ということがとても大切だと思っているんです。その私たちに、パラアスリートを応援するNPO法人「アダプテッドスポーツ・サポートセンター(ASSC)」さんからコラボの依頼があり、パラアスリートの気持ちを高めるような歌で応援することになりました。そんな曲が書けるのは、中西圭三さんしかいない。早速、曲作りをお願いし、誕生したのが「Beginning」です。
2020年に向けて、これからASSCさんと一緒にパラアスリートを応援していきたいと思います。


― 大阪の若い世代へメッセージをお願いします。

 皆さんの夢が誰かのためになるのなら、その夢に向かって歩いて行くことは楽しいはずです。私は歌うことに迷っていた時期がありましたが、38歳の時、大人が輝き、仲間とつながり、成長できるグループをつくろうという夢を見つけ、「human note」を結成しました。皆さんもそんな夢をぜひ、見つけてください。

寺尾仁志プロフィール

1990年代初頭、シンガーとして活動スタート。2002年、それまでのアカペラ、ゴスペルグループでの経験を経てシンガーソングライターとして活動を始め、現在までに4枚のアルバムをリリース。1998年からは、ラジオパーソナリティーとしても活動を始め、ラジオ関西、FM滋賀、FM大阪、FM和歌山で自身の番組を担当する。2007年、human noteを結成。メンバーは700名で構成され、歌を通して人とつながり、ウタの持つ力を持って、日本中・世界中をウタでつなげることをミッションとして、日々歌い続けている。

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