熱狂対談 佐藤悌二郎(株式会社PHP研究所 専務執行役員 経営理念研究本部担当)× 竹田 哲之助(大阪青年会議所 理事長)

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知恵を結集し、繁栄による
平和と幸福を追求する

竹田 - 本日はPHP研究所で長年PHP理念や松下幸之助の研究に尽力してこられた佐藤先生に、これからの時代を牽引するリーダーに必要な要素について、お話をうかがいたいと思います。

現在、大阪青年会議所(以下、大阪JC)では、人類に真の進歩と調和をもたらす「突き抜けた人材」の育成を掲げています。「人類の進歩と調和」といえば1970年の大阪万博のテーマですが、当時は技術革新による物質的な幸福を目指していたと思います。

しかし、2025年の大阪万博の開催が決定した現在、真の進歩と調和を目指す上では、物質だけでなく精神的な幸福を誰もが追求できる世界にならなくてはならないと考えています。この考え方はPHP研究所の理念にインスパイヤされた部分が大きいのですが、松下幸之助さんがPHP研究所を設立されたのは、どんなきっかけがあったのでしょうか?

佐藤 - 幸之助がPHP研究所を設立したのは、終戦の翌年である昭和21年の11月3日です。当時の日本は悲惨な状態にあり、幸之助は人間に原則として与えられている繁栄による平和と幸福が壊されていると感じていました。自分に知恵はなくとも、たくさんの人の知恵を集め、研究していくことで、社会に貢献できると考えたのがPHP(Peace and Happiness through Prosperity)研究所設立のきっかけです。

もう一つの理由は、政治に対する姿勢です。戦前の松下電器は、軍の要請にしたがって軍艦や軍用機の製造に携わっていました。与えられた仕事に懸命に取り組んだ幸之助ですが、敗戦後GHQによってその責を問われます。財閥家族の指定や公職追放といった厳しい制限を受けたことで、「政治がおかしくなれば商売の努力は一瞬で水泡に帰す」ということを思い知ったのです。

以降、経営に打ちこみながらも、一方では政治にも関心をもち、しかるべきことは提言していこうという考えを深めたこともPHP研究所設立の動機です。

竹田 - 経済とは、世を経め、民を済う『経世済民』が語源です。

青年経済人を自負する大阪JCのメンバーも、大阪市24区内で1000人以上が参加するタウンミーティングを開催し、吉村大阪市長に私たちの経済ビジョンを届けました。大阪の商人といえばやはり民の力が原点。

私たち経済人一人ひとりが、自社のことだけでなく、公のことも考えて活動することが大切だと私も強く感じています。

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幸之助に間近に接した
幸福な研究者生活

竹田 - 佐藤先生は、松下幸之助研究の第一人者としても知られ、昨年は大阪JCの中心メンバー向けに講演もお願いしました。先生がPHP研究所に入所されたきっかけについて教えてください。 

佐藤 - 大学は文学部に進んだので、卒業後は出版社に就職したいと思っていました。4年生の頃、京都に住む叔父から、PHP研究所の存在を教えてもらいました。すぐに本屋に走って「月刊PHP」と「Voice」という雑誌を買い求め、単なる出版社ではなく、繁栄による平和と幸福の実現を目指す研究所である、という思いに強く惹かれたことを憶えています。

幸い入社試験に合格し、当初の希望としては雑誌の編集をやってみたかったのですが、研究本部に配属され、松下幸之助の研究をすることになりました。幸之助の談話をテープにダビングする作業からはじまって、発言集の編集や原稿作成に没頭し、それらを「松下幸之助・成功への軌跡」という書籍にまとめたのが40歳の頃です。

その頃から研究者としても徐々に認められるようになり、今日までの38年と9カ月間、一貫して松下幸之助について研究してきました。

竹田 - 私が今38歳と2カ月なので、ほぼ私の人生と同じ期間ですね。

佐藤 - 今思えばとても幸せな時間でした。昭和57年からはPHP理念の研究会にも参加させていただき、幸之助と間近に接する機会をいただけたことは願ってもないことです。

それだけでもPHP研究所に入所して良かったと思えます。

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素直な心をもつことで
見えてくる自分の使命

竹田 - 今年度の大阪JCの理事長所信は、「人生には一番大事な日が二つある 生まれた日となぜ生まれたのか分かった日」というマーク・トウェインの言葉からはじまります。

私自身も、大阪JCでの活動を通して、自分が何のために生きるのかを模索してきましたが、やはり必要なのは素直な心だと感じています。

幸之助さんが提唱してきたこの素直な心について、先生はどのようにお考えでしょうか?

佐藤 - 素直な心は、幸之助が生涯追い求めていた心の境地といえます。はじめにその大切さに気付いたのは戦後、PHPの運動を本格化させた頃です。

東西の両本願寺をはじめ、さまざまな場所を訪れて講演や懇談会を続ける中で、たくさんの人に思いをぶつけ、また質問にも答えながら、素直な心こそがPHPの運動のいきつくところであると気が付きます。

素直な心を端的にいうなら、何物にもとらわれない曇りのない心のあり方です。それによって物事の実相や心理が見え、自分の進むべき方向が自ずと明らかになり、正しい行動をとることができます。

竹田 - やはり使命、つまり何のために命の炎を燃やしていくのか、ということにつながってくるんですね。

佐藤 - そうです。幸之助は「人間としての成功は、その人が備えている持ち味を存分に発揮することにこそある」と言っています。

お金持ちや有名人になれる人は限られていますが、自分の適性や天分を見つけて、それをいかすことは誰にでも可能なはずです。それを見極めるために欠かせないのが素直な心だということです。

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経営理念の根底にある
その人なりの哲学

竹田 - 素直な心をもって、自分の使命に気付くことができたなら、次はそれを実現するために、哲学が求められると思います。偶然、私の名前にも「哲」という字が入っており、常日頃から人として、またリーダーとして哲学について考えることがよくあります。幸之助さんは生き方としての哲学や、経営哲学の必要性を説かれた第一人者でもありますが、哲学をもつことの大切さについて、お聞かせいただけますか?

佐藤 - 幸之助は『実践経営哲学』という書籍の中で、経営理念の重要性を第一に挙げています。経営理念とは、企業の存在意義や目的、どのように経営を進めるかという基本になる考えですが、借り物の言葉や考え方では正しい経営理念になり得ません。

そこには経営者の人生観や人間観、社会観、世界観など、その人がもっている価値観が反映されていなければなりません。その価値観の根底にあるものが哲学だと思います。

竹田 - 大阪JCには、経営者以外に、リーダー的な立場の方も参加していますが、彼らにとっても哲学は必要なんでしょうか?

佐藤 - もちろんです。幸之助は「計画を立てて行うことはすべてが経営である」と言っています。企業だけではなく、人生や家庭も経営ですし、政治も国家経営といえるでしょう。

その意味では、あらゆる人が経営者ですから、自分の哲学をしっかりもっていただきたいと考えています。

公への意識が未来をつくる

竹田 - 2019年にはラグビーワールドカップとG20、2020年には東京オリンピック・パラリンピック、2021年にはワールドマスターズゲームが開催され、更に2025年の万国博覧会も大阪に決定しました。私たち大阪JCのメンバーも、大阪、日本だけでなく世界の発展を見据えてこれから活動をしていきたいと考えています。

もし幸之助さんがご存命であれば、こうした状況にある私たちにどのようなメッセージを投げかけてくれるとお考えでしょうか?

佐藤 - これは、昭和54年に大阪JCでの講演で幸之助が話したことですが、まずは自分ではなく人のことを先に考える思考、つまり公の心をもつことが大切だと思います。

若い皆さんが私心をもつことは当然であり、また捨てきれるものでもないと思いますが、公の心をもとうと意識することはできるはずです。その時に大切になってくるのが、素直な心です。私心や私欲、先入観や既成概念にとらわれていないかをしっかりと見極めてほしいと思います。

また、人間は皆ダイヤモンドの原石のように、無限の可能性をもった存在です。幸之助も、一人ひとりが尊く、無用の人なんていないという思いをもってパナソニックの経営をやってきました。皆さんがご自分の会社や組織、あるいは社会について考える場合も、その人にしかないものをどれだけ生かしてあげるか、その人が幸せになるためには何をすればよいのか。

そういう思いを大切にしながら周囲の方に接してほしいですね。

竹田 - 現在私たち大阪JCには1000人のメンバーがいますが、それぞれの果たすべき使命を見つけるためにも、「公」や「素直な心」をもつことの大切さを改めて学ぶことができました。

大阪JC会員にもしっかり伝えていきたいと思います。本日はありがとうございました。

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